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ジッパー様

第23章 絶望

 二人の会話を聞いていて、なんだか申しわけなくなってくる。私が正式にジッパー様と結婚すれば、いくらかお金を渡すことができるのに……今の私には何もない。
 何もできない私が、ここにいていいんだろうか。


「……ねえ、マヤ。私にも何かできることはないかしら?」

「えっ! 狩りをしたいんですか!?」

「狩りはちょっと……」

「ふふふ、冗談です。じゃあ、シホ様。一緒に野菜作り、してみますか?」

「……してみたいわっ!」


 私はなんだかワクワクした。
 学校に行っていない私は何も知らない。もちろん、野菜の作り方だって知らない。


「そのきれいな手や洋服が汚れるかもしれませんよ?」

「構わないわ」


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