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ジッパー様

第23章 絶望

 私は居ても立ってもいられなくなり、ベッドから立ち上がった。でもマヤは私の手首を掴む。


「マヤ?」

「シホ様、だめです。今はまだ……もう少しここにいましょう!」

「でも、ギルバートさんがっ……」

「彼なら大丈夫です。そんなに簡単にやられたりしないですから……」


 でも私の手首を掴むマヤの手が小刻みに震えている。


「……わかったわ。もう少し、待つわ……」


 私はベッドに腰を下ろした。そして震えるマヤの肩を抱きしめた。


「……シホ様っ……」


 私にはこうすることしかできない。
 本当はマヤは、すぐにでもギルバートさんの元に行きたいのだと思う。でも私を守らなければいけないから……。



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