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ジッパー様

第23章 絶望

 そういえばギルバートさんは花を育てるのが好きだった。屋敷内に素敵な花を咲かせては、私を楽しませてくれた。


「ギルバートさんっ……」

「嫌よ、こんなのっ……。ギルバート、目を覚まして! お願い、私を一人にしないでっ……」


 マヤは悲痛な叫び声をあげる。
 でもギルバートさんの身体はピクリとも動かなかった。


「いたぞ! こっちだ!」


 その時、すぐ近くから男たちの声が聞こえた。


「!」


 後ろを振り返ると、制服を着た警察官たちがライフルを持って屋敷の敷地内から走ってきた。更には警察犬も吠えながら走ってくる。


「シホ様、こっちへ!」


 マヤは素早く私の手を掴むと、反対側へと走り出した。でも反対側からも別の警察官と警察犬が来て、あっという間に囲まれてしまった。


 

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