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「九条家の長女、シホ様ですね？」

「！」


　警察犬が唸る中、警察官の一人が私に話しかけてきた。


「約一ヶ月前、あなたが街で行方不明になってから、我々はあなたをずっと探していました。まさかこんな、化け物の棲む館に囚われていたとは可哀想に……。でももう安心です、化け物は倒しました。さあ、我々と一緒に九条家に帰りましょう、あなたの家族がお待ちです」


　そう言うと、警察官はじりじりと近づいてきた。


「……っ……」


　あんな家に帰りたくない。
　でも私が帰らなければ、マヤまで酷い目にあってしまう。そもそも私がここに来なければ、ギルバートさんは死ななかったのに……。


「……わかりました、家に戻ります」

「シホ様！？」

「マヤ……ごめんね……。今までありがとう……」

「だめです、シホ様！！」