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ジッパー様

第23章 絶望

 マヤもギルバートさんも、人ではなかった。でも化け物じゃない。私に生きる喜びを教えてくれた、人間よりも人間らしく、純粋で温かい人たちだ。


「マヤっ……」

「……シホ様……。ずっとあなたを騙して、ごめんなさいっ……」


 私は顔を左右に振った。


「実は私もギルバートも、ジッパー様と同じ、化け……」

「マヤ、大好きよ」


 私はマヤの身体をギュッと抱きしめた。


「あなたたちが何者かなんて、関係ない。マヤは私の初めての友達なの。だからこれからもずっと友達でいてね」

「……シホ様っ……」

「みんな、大好きよ。マヤもギルバートさんも、ジッパー様も大好き」


 私は涙で前が見えなくなった。
 でも大丈夫、マヤがきっとジッパー様のところまで連れて行ってくれるから。



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