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ジッパー様

第6章 意外な繋がり

 私は小さい頃からなぜか両親に「可愛くない子」と言われて育ってきた。スカートは似合わないからズボンを履きなさいと言われ、女じゃなく男として生きろと言われた。
 格好も言葉遣いも男っぽくしてきたけど、でも本当は皆みたいに女の子らしくしたかった。


『だめよ、あなたは地味にひっそりと生きなきゃいけないの。あなたは……が強いの。人を……のよ』


 母が言った言葉をふと思い出した。
 所々聞こえない部分があったが、あれはなんと言っていたんだろうか。


 翌日、憂鬱な気持ちで片桐部長を待っていると、黒い車がアパートの前に停まった。


「ごめんなさい、部長……。今日はやっぱり行けません。私、着る服がなくて……」


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