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ジッパー様

第24章 囚われ

 私は鉄のドアのノブを回す。でも重くて、全然開かない。


「お嬢様は非力ですね」


 メイドはそう言うと、簡単に片手で開けてしまった。
 部屋の中は薄暗かった。窓はなく、天井には豆電球がひとつぶら下がっているだけ。
 ジッパー様はその電球の下で、身体を拘束され、椅子に座らされていた。


「……ジッパー様っ……」


 ジッパー様は眠っているのか、頭を垂れて、全く動かない。


「眠っているだけです。先程、麻酔薬を打ちましたから」

「!」


 メイドはジッパー様のそばまで行くと、ジッパー様の髪の毛を引っ張った。


「驚いた、まだ人間の姿のままでいるなんて」

「……えっ……」

「本来の姿に戻ると理性がなくなるから? ほんと生温いわね、あなたたち一族は」

「!」


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