テキストサイズ

ジッパー様

第24章 囚われ

「リコ、あなた……何か知ってるの?」


 私が問うと、メイドはクスッと笑った。


「知ってるも何も、彼は私の種族の敵なのよ。本来なら、人間に虐げられる存在ではないわ」

「!」

「どうやら、私たちとの戦いで記憶を失ったようね。残念だわ、くだらない人間のために命を張るなんて」

「リコ、あなたっ……」


 メイドのリコの姿が徐々に変わっていく。それはいつぞや見た、オカルト雑誌に載っていたエイリアンの姿にそっくりだった。


「ふふ、恐ろしい? 安心して、あなたはジッパー様を目覚めさせる材料のひとつだもの。簡単に殺したりしないわ」

「!?」

「さあて、そろそろ……人間の醜態劇が始まるわよ」


 リコがそう呟いたあと、鉄の扉が勢いよく開いた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ