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ジッパー様

第25章 連鎖

「なによっ……。だったらどうしてハルカには愛人になれって言ったのよ!! シホの次はハルカなの!? またあたしから奪うの!?」


 いちごはいきなり私に襲いかかってきた。でも複数の白い手によって、一瞬で握り潰される。その手を下したのは、伊崎社長だった。


「……っ!」


 いちごは無惨な姿であっけなく死んだ。思わず顔を背けると、セイヤさんが私を抱きしめてくれた。


「ああ、やっぱり人間ってくだらない生き物ですね。私には理解できないです」


 リコさんはそう言うと、慣れた手つきでいちごの死体を片付けた。
 七十年も一緒にいたのに、なんの感情もないの?


 私は伊崎社長を見た。
 姿は人間化したジッパー様なのに、中身が全然違う。あんなに平気で人を殺す人だと思わなかった……。


「ハルカちゃん、大丈夫?」

「セイヤさんっ……」


 私はセイヤさんの顔を見て、平常心を取り戻した。



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