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ジッパー様

第7章 忍び寄る手

 メガネ女は私の背後に回り、Tシャツを脱がそうとした。


「ちょっ、やめ……」


 その時だった。
 私の耳元で一瞬「ジジジ……」と音がした。


「!?」


 私は背後を振り返って確かめる。
 しかし周りには何もなかった。


 気のせい……?


「鈴村さん、服装は決まったかな?」


 扉の向こうから片桐部長が話しかけてくる。


 「すみません、まだ……」と答えようとした時、メガネ女がすかさず「片桐部長、赤と白、どっちが好みですか?」と言い放った。


「赤と白? そうだな……赤かな」

「!」


 メガネ女はフッと笑うと、


「知ってる? 情熱的な赤は、男を性的に興奮させるのよ」


 そう私の耳元で囁いた。



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