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Hello

第40章 櫻井くんと俺ら②


Satoshi×



翔ちゃんが痩せてきた。

俺は、真面目な顔をしてコメントしているテレビの向こうの翔ちゃんを見つめた。

久しぶりにみた翔ちゃんは、一時期ふっくらしていた顎がシャープになり、別人のようだった。


忙しいから、という理由で、ここ最近二人の時間があわなくて……電話はしてるけど、冠番組の収録くらいしか顔をあわせることはなくて。

大事なときに翔ちゃんの負担になったら嫌だから、会いたいとも言えずに、おとなしくしてるけど。



え……ちゃんと食べてんの?



…………ちょっと心配になる。

年末にかけ、グループ内で、相葉ちゃんと1、2を争うほどスケジュールキチキチだった翔ちゃん。

それでも、同じ条件の相葉ちゃんは、年末は自分の家に帰らず、ほぼにのの家に入り浸ってたって言ってた。
飯も一緒に食べて、にのに、たくさん癒してもらって…………だから、頑張れるんだ、俺、と、言ってた。


俺らは……遠慮しすぎなのかな?
俺……翔ちゃんに何かできてる?



******


『……で?』

「や、だから……俺は何したらいいかなぁって……」

『それを俺に聞くの?』


スマホ越しに、柔らかい表情まで思い浮かぶような声で、くすくす笑うのは松潤。


「……ごめん」


俺は、昔から翔ちゃんを好きだったけど。
松潤も昔からずっと翔ちゃんを好きだったんだよね。

だけど、最後に翔ちゃんが選んだのは俺だったんだ。

なまじ、お互いにお互いの想いを知っていたから、はじめの頃は、罪悪感しかなくて、心から嬉しいと思えなかったけど、松潤に、俺に遠慮してるなら怒るよ、と、言われて。

それからは、困ったことがあったら、松潤に相談してきた。
残酷なことしてるな、と思っていたけど、彼しか頼る人もいないのが事実。


「ごめん」

『謝らない』

「……うん」

『……で?翔くんに何したらいいかって?』

「……うん」


はああ、とわざとらしく大きなため息をついた松潤は、穏やかに教えてくれた。


『……とりあえず、会いたいっていいなよ』

「でも……疲れてたら…」

『意外と翔くんはタフだよ』

「……」

『それで、一緒に飯食いな』

「俺……松潤みたく作れない…」

『なんでもいいんだよ。買ってきたものでもいい。一緒にってとこがミソなの』

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