Hello
第42章 from jealousy * バンビズ
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「あっ……やだ……っ」
「やじゃねーよな?」
「も……っおねがい……」
「何を?」
冷たい口調で揶揄される。
今、俺たちがしてることは……なんなのだろう、と飛びそうな意識を必死で繋ぎ止めて考える。
これは……なに。
セックスではない。
だって、ずっといじめられてるだけの気がする。
昨日と同じように裸になるように指示されて。
翔さんの膝に跨がされた俺は、さっきからずっと翔さんの指を受け入れたまま。
後ろばかり弄られて、俺の勃ちあがってるものには、翔さんは目もくれない。
さっきから、たらたらと流れる先走るものでびしょびしょなのに、決定的な刺激がないせいで、イケないでいる。
自分で触ることも許されず、ただひたすら翔さんにしがみついていることしかできない俺は、体を震わせて、喘ぐことしかできなかった。
「しょ……さ……」
涙が出る。
俺はなに。
あなたの玩具?
悲しくなってきて、グスグスと泣きながら翔さんのうなじに顔をうずめてると、翔さんの大きな手のひらが俺の背中を撫でた。
やられてることに対して、予想外に温かいその手のひらに、また涙がでた。
すると、翔さんは、あやすようにその手を動かしながら、ポツンと言った。
「なあ……潤」
「……な……に」
「俺はさ……お前のなに?」
…………。
なにって……なにって?
こっちが聞きたい。
「俺を好きか?」
……なにいってんの、この人。
俺の気持ち知らないの?
俺は、翔さんにしがみついたまま、仕方なくこくりと頷いた。
「じゃあ……どうしてあんなことするんだ」
「あ……んなこと……って」
「……兄さんに寄り添って無防備な顔見せんじゃねーよ」
「……あれは……!」
「あれは?」
「リーダーが……寝ろっていうから」
「あんなにくっついて寝る必要ないだろ」
言って、ぐりっと指を動かされ。
「やあっ……!」
俺は、また翔さんにしがみついた。
与えられる快感に相反して、ちっともイケない体が熱くてたまらない。
じわじわと攻められるだけのこの仕打ちは、たまらなく辛くて……。
「翔……さ……」
翔さんは、涙声で小刻みに震える俺の背を再びゆっくりと撫でて、低く言った。
「俺の恋人って自覚、もっと持ってくれ」