Hello
第42章 from jealousy * バンビズ
信じられない。
誰彼かまわず愛想なんて、振り撒いてねーしっ!
完全に翔さんの、ヤキモチじゃんかっ……!
怒ってる理由が、思いの外、子供のように単純なことがわかって、ちょっと安心した。
それなら、俺だって……ちょっとは積極的になれる。
「じゃあ……キス………んっ…してよ……」
揺さぶられながら、どさくさまぎれに、一度もしてもらったことのない行為を強請った。
どういうことか、絶対してくれない……口づけ。
いくら体が繋がっても、心が満たされきれない理由のひとつでもある。
だいたい、恋人としてのステップを踏むなら、キスからだろう?
「…………」
律動をやめた翔さんが、俺をじっと見下ろしてきた。
少し紅潮した頬と、浮かぶ汗が、びっくりするほど、色っぽくみえて、ドキドキしてきた。
「俺、あなたの恋人……なんでしょう……?」
だめ押しのように訴えたら、翔さんは、にやりと笑った。
「……まだしない」
「どうして……?」
「どうしても」
「……ああ…っ…」
言って再び動き出した翔さんは、俺の足を折り畳み、自分を刻み込むように激しく突き立ててきて。
たちまちその荒波に翻弄される。
翔さんの指が荒々しく俺を掴んだ。
イかせてもらえる嬉しさと、答えを誤魔化された戸惑いと。
ごちゃまぜな気持ちのまま、ただただ声をあげるしかなくて。
「翔さ……んっ……やっ……一緒にイきた……いっ」
「……うん」
「っ……もう、出るっ……からっ」
「……も少し我慢しろ」
「むり……っ」
「……あほ。無理なことあるかよ」
無理だよっ……!
絶え間なく突かれるたびに、ジンジン痺れる快感に抗いきれずに、
「ごめ……っ……ああつ」
俺は二度目の精を吐き出した。
翔さんは、仕方ないなという顔で、俺から少し遅れて、体を震わせた。
体の奥が濡れる感覚が嬉しくて、翔さんの広い背中にぎゅっとしがみついた。
恋人……なんだ、俺。
はあ…はぁ…と息を弾ませながら、翔さんを離すまいと、足も絡めて、くっついてやる。
翔さんは、ゆっくりと俺の体に自分を重ねるように、体を落としてきた。
波打つ背中を、弾む吐息を、翔さんの温もりを、全身で感じながら、俺は目を閉じた。
我慢していた涙が、……また一粒流れた。