Hello
第46章 ひらり*末ズ
「こっち」
いつまでたっても座り込んだまま、お地蔵さんのように動かない俺の手を、潤くんが握り、ぐいっと引っ張った。
はずみで、潤くんに体が傾く。
……気がついてないのかな。
いつもと同じように俺を抱き寄せかけて……潤くんはそこで初めて、目をみはった。
「……あれ?」
俺の体との重なり具合に、違和感を感じたみたい。
お互い裸だもんね。
薄い胸どうしがくっつくから、抱き心地に差がでたのだろう。
ゆるゆると自分の体を見下ろして……潤くんが息をのんだ。
「俺……やせた?」
うーん……痩せたどころか。
「たぶん……そういうことじゃないみたいよ」
俺は潤くんの、いつもより一回り細い腰に腕をまわした。
お月様……ちょっとイタズラがすぎません?
「今日がオフでよかったね」
俺は苦笑いして、いつもより華奢な胸板に頬をよせた。
ガリガリなそれは、俺より頼りない薄さだった。