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Hello

第49章 大事な人は * 山


チュ……と唇を何度か食まれて。


至近距離に見えるふせられた綺麗な睫毛に、つられるように目を閉じた。

兄さんの唇の柔らかさに、うっとりと気をとられていると、……自然な動きでするっと舌が入りこんでくる。

同時に、いつのまにか反対側の手で後頭部をおさえられ、俺は完全に兄さんに主導権を握られる。

行き場に迷う手を、兄さんの腰にまわすと、兄さんは、体をおしつけるように密着してきて、俺の口内を舐めまわった。

頭がくらくらする。


「ん……んん……」

「ん……はっ……ぁ」

「ふ……こら……逃げんなよ」

「いや……ぁ……兄さ……ぅ」


くっという低い笑い声が、艶っぽくて、下半身を直撃する。
兄さんの声に俺は弱くて……。
徐々に立っていられなくなる。


「兄さ……」

「智」

「んん……っ……さと……ぁ」


名前を呼べ、と命令された瞬間、俺はスイッチが入る。
脳みそも、手も足も。体も顔も。
すべてが熱くなってきて。


「ぁ……触って……っ」


素で言えないセリフも言えるようになり。

俺の押し殺すような悲鳴に、体を押しつけていただけの智の手が、俺のスエットパンツの隙間に、するっと入った。


「ちゃんと立てよ」

「無理…っ…」


するすると触られる腰に、力がはいらない。
智の支える腕がなかったら、俺はその場に座り込んでいるだろう。


「……しょうがねぇやつ」

「誰のせい……っ」

「翔くんのせいだよ」

「あ……やだぁ……っ」


腰ばかり撫でられて。
決定的な刺激をもらえずに、俺が首を振る。

智が悪い顔で、俺の耳朶を優しく噛み、ぬるりと舌を耳に入れた。


「やっ……ああっ」


ぞくぞくとした快感が背筋を這い上がる。

そして、それが合図であるかのように、俺の膝はくずれ……ソファに沈んだ。


「翔くん……翔……」

「あ……智……ぅんっ……」


彼の与えてくれる刺激に、溺れて行く。



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