Hello
第50章 りんごくん * 末ズ
ちょいちょいと手招きしたら、長い足で颯爽とこちらに歩いてくる。
そんな姿までサマになってて憎いかぎりだよ。
潤くんは優しい顔で俺に問う。
「どした?」
「んっとね」
内緒話の位置まで顔を下げさせて、耳元で囁いた。
「……ペンネが食べたい。ちょっと辛いやつ」
晩御飯のリクエスト。
すると料理上手な俺の恋人は、にこりと笑って親指をあげた。
そして、自分の荷物の方に戻って行く。
俺も何食わぬ顔で、再び手元のゲームに目をおとした。
誰にもばれてない……俺らの関係。
だって、潤くんは、誰にでも優しいから。
ごめんね、みんな。
みんな、潤くんを大好きなのは知ってるよ。
でも、この人は俺のものなの。
天然なりんごくんかと思えば、セクシー隊長まで、振り幅のうんと広い、この可愛い末っ子は、俺に惚れてんの。
だから誰にもあげない。
fin.