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Hello

第50章 りんごくん * 末ズ


Jun



「よし……」


フライパンのなかでくつくつと音をたててるトマトソースの中に、茹であげたペンネを投入。

ザッと絡め、手早く皿に盛った。
パルメザンチーズをふって……ニノの本日のリクエスト、ペンネアラビアータの完成だ。


うん、我ながらうまそうだ。


俺は、彼のほころぶ顔を楽しみに、濃紺のランチョンマットの上に綺麗にセッティングし。


「できたぞー」


リビングに向かって声をかけた。


しばらくして、ゲームを終えたらしいニノは、のそのそとこちらに歩いてきて。
テーブルの上を見て……嫌な顔をした。


……え?


「……スープいらないし」


ぼそりと言われた言葉に、ずっこけそうになった。


まずそれかよ!


俺は、苦笑いして、席につくように促す。


「……そういうなよ。ペンネだけだと野菜不足だろ」

「……なんなの、これ?」


ニノの目は、ペンネと共に、うまそうな湯気をたたせてる透明なスープに注がれてる。
俺が最近はまってる野菜なんだよな。


「クレソンのコンソメスープだけど」

「いらない」

「即答かよ(笑) ぜってー食わしてやる」


三食同じメニューでも大丈夫なニノの好みはものすごく片寄ってて。
付き合い始めた頃は、この食生活をまず直そうと俺は心に誓ったものだ。


「ワイン?ビール?」

「……ビール」

「オッケ」


だけど、この彼のちょい我儘が、実は俺は意外と好きだったりする。

ニノの我儘は、心を許した人にしか発動しないことを知ってるから。

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