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Hello

第52章 にのみみ * にのあい


「じゃあ、にのちゃん、晩ごはんにしよ」


相葉さんは、ご機嫌に食卓を指差した。
俺は頷き、のそのそと相葉さんのあとを追う。

頭の辺りで、ウィンウィンと微かな作動音がし続けるのが、すごく違和感ある。

でも、相葉さんが嬉しそうにデレデレしてるから……不本意だけど、まあいっか、と思った。

たまには遊びにつきあってあげるのも、恋人の務めかもな、と思って。


「おいし?今日はメンチカツにしたよ」

「うん、うまい」

「あ、そのトマトいただきものなんだけど、めちゃめちゃ甘くない?」

「うん、あまい」

「にの?」

「ん?」


もぐもぐしながら相葉さんを見上げたら、相葉さんはすごーく幸せそうな笑顔で呟いた。


「耳たれっぱなし。ほんとに美味しいんだね」

「……言ってんじゃん。うまいって」


そんなこと嘘ついてどーすんだ、と、俺が言うと、相葉さんはほんとに嬉しそうに、うん、そうだね、と言った。


……なんだか、嘘発見器みたいな使い方になってねーか?


それだけ、俺の真意を確かめたいのかな、と、ちょっと相葉さんを可愛く思った。

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