Hello
第53章 可愛い人は ② * 山
急に再び恥じらいだす智くん。
なんだ?と思ったら、智くんは見ちゃいけないものを見てしまったというように、俺をちらりと見上げて唇をかんだ。
「……なに?」
「や……だって……翔くん」
言って智くんは視線をおろす。
智くんの目線をおいかけて。
ああ……、と、苦笑う。
つまり、俺はまだイッてないから……俺のそこは全然おさまってないわけで。
足を組んだりもしてないから、誤魔化しようもないくらい、派手に形づくってる。
「……気にしないで」
「でも……」
「おとなしくしてたらおさまるから……少し待って?」
さすがに、ここで、自分のを慰めることなんかできやしない。
ましてや智くんと合体なんて、できるはずもない。
……そこらへんはわきまえてるつもりだ。
「智くんが煽らなかったら大丈夫」
「……煽ってなんかないやい。ちょっとその食べかけ食べちゃうからとって」
言って、俺の手元にあるりんご飴に、手を伸ばすから、俺は、
「……頼むから向こう向いて食べて」
と、お願いしたのだった。