無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

いつも慎重にしすぎて失敗するんだよな。

過去の自分を思いだし反省する。

俺は、今日こそ！と思って、結構勢いよくヨーヨーめがけてこよりを突っ込んだ。


……よし！


すると確かに穴にはひっかかったが、持ち上げる段階で、力尽き……


あ



こよりはあっけなくちぎれた。

ぽちゃ、と水面に逆戻りしたヨーヨーを前に呆然とする俺。
その隣では、あははっと遠慮なく笑う智くん。
いつも声を出せないから、我慢してたもんね。


｢あははっ……秒じゃん……！｣

｢…………｣


……ちょっと。めちゃめちゃ笑うじゃん！




じとっと智くんをみると、さすがの腕前の智くんは、笑い転げながらも次々とヨーヨーをつり上げてる。

ぶすっとしながら、桶をおじさんに返したら、おじさんは、


｢彼女、かわいいから好きなのひとつ持ってきな。内緒だぞ？｣

｢…………！｣


怖い顔のくせに、男前なことを言ってくれる。
ありがとうって声をだしたら、バレるから、俺は、精一杯の感謝をこめて可愛くお辞儀をした。