Hello
第60章 ⭐️⭐️⭐️ * 大宮
Sho in櫻の国
親父からうける、嫁探しという圧をのらりくらりとかわし続けること一年。
「……いい加減女々しいよなぁ」
紅茶から立ち上る湯気をみつめて、ひとりごちると、
「……なにかおっしゃいましたか」
控えてたフウマが、振り返るから、いいや、と手をあげてそれを制した。
一年前、ニノ国から帰ってから、しばらくして、サトコ様から文と大量の御礼の品が届いた。
それには、ミヤ捜しにつきあったお礼と、俺とジュンが先に帰国したあとの顛末と……今後の事がしたためられていて。
それを読んだ俺はしばらく立ち直れなかった。
だって、ミヤの迎えを待つなんて、言われちゃ……もう俺もジュンも姫のことはあきらめるしかない。
はからずも、皇太子という同じ土俵にあがってきたミヤに、かなうわけはなかった。
俺とジュンが、ミヤより有利だったのは、身分の違いというただ一点だったから、それをクリアされちゃ、お手上げだ。
……分かってはいたけれど……
ぼんやりとカップに口をつける。
フウマがいれてくれた今日の紅茶はアップルティー。
……たしか、このフレーバーは、サトコ様が気に入ってくださったものだ。
「はぁ……なに、事あるごとに思いだしてんだ」
ダメだ。
女々しすぎる。俺。
頭を抱えたい思いで、頬杖をつく。
すると、フウマが遠慮がちに声をかけてきた。
「ショウ様」
「…………ん?」
「ジュン様から文が届いておりますよ」
「……ジュンから?」