Hello
第60章 ⭐️⭐️⭐️ * 大宮
Jun in松の国
広大な城の庭を、端から端まで何往復しただろうか。
俺は、速度をおとし、ゆっくり歩いて息を整えた。
流れる汗を肩口でふき、清々しい青空を見上げる。
口うるさいソウの目をかいくぐり、体作りのためといって、俺はジョギングを日課としてる。
筋肉のトレーニングも欠かさない。
だからだろうか。
二ノ国で、姫をかばい、馬車と接触したときに、切り傷と打ち身ですんだのは、その鍛練の賜物だと思ってる。
普通の人なら骨折してただろうって、二ノ国の、人の良さそうな医者の爺さんに褒められた。
……ただ、傷だらけの体をひきずるように帰国したときは、出迎えたソウが真っ青になった。
事の次第を説明する俺に、もし死んでたらどうするつもりだったんですか!と、不注意とお人好しをさんざん責められ、わんわん泣かれたけど。
「いたいた。探しましたよ!」
そんな、なつっこい付き人は、俺を見つけて子犬みたいにかけよってくる。
……かわいいやつだな。
ぼんやり思ってると、ソウは大事に持っていた文を俺に差し出した。
「……おまちかねのショウ様からお返事が来ました」
「ん。サンキュ」
片手で便箋を広げ、あいつらしい几帳面で美しい文字を追う。