Hello
第60章 ⭐️⭐️⭐️ * 大宮
雰囲気を壊さないよう、うまく場の話をすすめるショウ。
要所要所に、笑いをおとしてくれるマサキ。
俺の知らない三人の昔話をしてくれるジュン。
美味しいお茶をいれながら、静かに立ち回ってくれるマリウス。
「…………」
涙が出そうで困って、俺は殊更に口を動かして誤魔化した。
カトリーナがつくってくれた、せっかくのプディングが、ちょっと塩味がするのがもったいなかった。
俺のまわりには、こんなにも優しい人たちがいる。
あきらかに報われない恋をしている、あるいはしていた、はずなのに、以前と変わらぬ態度で接してくれて、笑いかけてくれる。
「……サトコ様。お茶のおかわりは」
マリウスが、さりげなく視線をこちらにもってくるから、俺は後ろをむいて、瞬きを繰り返した。
そして、目にたまった水をなんとか追い出して、
鼻を小さくすすって、指示する。
「ショウのお土産のフレーバーティーをいれて。……みなさまにも」
「……かしこまりました」
誰一人、俺の挙動不審な様子に突っ込まないのも、また温かな優しさ。