Hello
第60章 ⭐️⭐️⭐️ * 大宮
トータルにして、そんなに長い時間ではない。
だが、ここ最近では一番笑った時をすごせたと、思う。
「……では、姫。来月また参りますね」
ショウが、にこりと笑って、席を立つと、他の二人も静かに立ち上がった。
ああ、帰っちゃうんだ、と残念に思いながらも、俺も立ち上がる。
「……ありがとうございました」
俺は、心からのお礼を口にした。
ミヤがいない心の穴なんて、本人以外誰にも埋められやしないと思っていたけど……彼らのおかげで、その寂しさが少しでもまぎれたのは事実。
神妙な俺の様子に、ジュンがふふっと微笑む。
「……たくさんお話できてよかった。来月の正式な誕生日会では、父上様もおられるから、こうはいかなかったでしょうし」
…………そっか
確かに、来客の多さに、個人的な話ができる時間は限られよう。
ジュンの機転に感謝しかなかった。
「そうですね……ほんとに楽しかった」
「……喜んでいただけてよかったです」
にこりとするジュンの傍らから、マサキが一歩踏み出した。
「……姫。お渡ししたいものがあるんです」
そういって、マサキが、付き人のダイゴから、小さな布にくるまれたものを受け取り、俺にそっと差し出した。