Hello
第60章 ⭐️⭐️⭐️ * 大宮
「……なんですか……?」
マサキの手からうけとったそれは、とても柔らかで軽い。
くるまれた布を開けば、中から色鮮やかな……
「……タイ……?」
マリンブルーと白の格子柄のカジュアルなアスコットタイがでてきた。
シルクのとても上質なものであることがみてとれる。
……でも、どうみてもそれはメンズものだ。
……おい。俺は、一応姫だぞ。
どうしろと?
戸惑いながら、
「これが……なにか?」
首を捻りながら、マサキを見上げた。
すると、マサキは穏やかな微笑みで、
「……ミヤさんから預かりました。ご本人の私物だそうです」
「…………っ……」
俺は固まる。
とたんに手の中のものが、特別な意味をもつもののように思えてきて、俺はそのタイを凝視した。
「……先日、公務で二ノ国へ行きました。そのときに、サトコ様へ、と預かりました」
「…………」
「誕生日会欠席してすみません、と。」
「…………」
「これを俺だと思って、もう少しだけ……待ってて欲しい、と伝えてくれ、とのことです」
「…………」
手の中のタイを握りしめる。
ミヤの声や息づかい、しまいには温もりまで感じれそうなそれを、そっと頬にあてた。
懐かしいミヤの香りがする。
「……ミヤは……元気にしていましたか」
「……はい、とても」
「……あいつに手をだしたら許しませんよ」
「っ……だしませんよ!」
くすくすと笑う。
……ポタポタと涙が落ちた。