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Hello

第62章 やさしくて * にのあい


この俺が、手の内さらすなんて、そんな初歩的なミスをするわけない。

ないはずなのに。

この人は、弱みをみつけたとばかりに、嬉しそうにそこを突いてくる。


「かわいーな。ひとりごとに気づかないなんて、潤ちゃんのこと笑えないじゃん」

「……う、うるさい」

「耳真っ赤にしちゃってさ」

「うるさいっ」

「こっち向いて」


そう言われて、はいそうですかなんて、向けるわけない。
恥ずかしすぎる。


「……………」


黙ってただただうつむいてると、そっと両頬をはさまれたかと思うと、ぐいっと上向かされた。

真正面から優しい目でみつめられる。


「カズ」

「…………!」

「何が不安?」

「なっ…なにもっ」

「言って」


言えるわけない。

ひたすら黙ってると、ふいに唇が柔らかいもので包まれた。

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