Hello
第63章 可愛い人は④*山
Sho
例のイベントがもうすぐだ。
智くんの地元のお祭り。
俺は、去年までの経緯を思い出していた。
トップアイドルであるがゆえ、智くんとお忍びの外出は、できるだけカモフラージュした関係と、変装が必要で。
俺の考え出した計画は、自画自賛の完璧なものであった。
智くんに、サトコになってもらう。
しかも浴衣とメイクで、気合いの入ったサトコに。
これがドンズバできまり、2年間続けて、俺は夢のようなデートをすることができた。
まぁ…去年は、智くんにやられて、ショウコになったけど。
あれはあれで、かっこよい智くんに会えて結果オーライだったんだけどね。
………さて。今年はどうする。
俺は唇を触る。
俺の正直な願望は、サトコとデートだ。
……ただ、智くんが素直に女装してくれるかどうかが問題だ。
やっぱり有無を言わさないで、美容室に押し込むしかないか。
美容師の俺のダチの前にでたら、素直になるだろう。
よし。
俺はスマホの電話帳をスクロールした。