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Hello

第63章 可愛い人は④*山


Sato


……変だと思ったんだ。


俺は、鏡にうつる自分をみてげんなりした。


翔くんが美容室に行くことを快諾した意味がわかった。
おともだちの美容師さんが、いやにノリノリで『今年は2人とも浴衣着るんですね』って言った意味もわかった。
てっきり男物の浴衣用意してくれたのかと思ってたのに。

どうぞ、と渡されたのは濃紺に水色の花があしらったレトロな柄の……女物。

やだやだと、抵抗したけど、隣の部屋から、「は?ちげーよ、これ!」という翔くんの声に、察しがついた。



全ての仕度が出来上がった状態で2人で対面して………



「智くん……」

「………翔くん」


その場に座り込みそうになった。


「いやぁ〜俺、気合い入っちゃった!まさか2人ともこの格好で祭りに行こうなんて、腕がなったわ」

美容師さんが、満足そうに頷いてる。


自分のことはさておき、俺は目の前で困ったように腕組みしてる翔くんをみつめた。


「綺麗だね…ショウコ」


黒髪のウイッグは、キラキラの星飾りでアップにまとめあげられ、翔くんの白いうなじが色っぽくうつる。
朱色と黒のモダンな浴衣が、強烈な色気をだしてて、すげー綺麗。

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