
Hello
第63章 可愛い人は④*山
「へいらっしゃい!いくつかい?」
おっちゃんが、クルクルとたこ焼きをまわしながら、聞いてくるから、どうするんだろうと翔くんを見上げたら、翔くんは鮮やかに微笑んで、人差し指を見せた。
「ひとつかい?」
翔くんは、極上の笑みで頷いた。
すると、おっちゃんは、みるみるでれっとした顔になり、
「お姉ちゃんたち綺麗だからおまけしとくわ!」
と言い。
ひとふね6個入りなのに、10個も乗せて差し出してくれた。
翔くんは500円玉を差し出して、優雅に礼をした。
俺も慌ててぺこんと礼をした。
「ほらな。買えたっしょ」
翔くんはニコニコしていつものベンチに座る。
すごいね、翔くん、と俺も隣に座った。
焼きたてのたこ焼きのうえで、鰹節がふわふわ踊ってる。
甘いソースの匂いをかいでたら、なんだかもっと腹がへってきた。
2人で爪楊枝をつきさして、いただきまーすと口に運んだ。
「あふっ」
「うん、おいしい」
昼から何も食べてなかったから、めちゃくちゃ美味しい。
