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Hello

第63章 可愛い人は④*山


Sho


美味しいものを、モゴモゴ食べてる智くんは、小動物みたいでほんとに可愛い。

猫舌だから、口の中に入れたたこ焼きを、何度も転がしてるのがわかる。

時折顔中クシャクシャにして、熱がってるのもまたよい。

……よいってなんだ?って話だけど。


思わず自分に突っ込んでしまう。



「智くん」

「あふ?」

「ソース、ついてるよ」


口の端をチョイチョイとさすと、智くんはぺろっと舌を出して舐めとった。


「女の子同士だと、外で堂々とキスしづらいのが難点だなぁ」


ほんとなら、俺が舐め取りたかった、という願望ものせて呟くと、智くんは信じられない、と言う顔をして俺を見上げた。


「男女でも、外では堂々とはしないよ」


言って、またパクリとたこ焼きを頬張った。


「………はいはい」


ふふっと笑って、俺もたこ焼きを口にほおりこんだ。


夜風が気持ちいい。
加えて、顔を堂々とさらしても、バレない、騒がれないのは清々しいものだ。


「………楽しいね」


仕事のバタバタから距離をおいたこの時間がいとおしい。


「そだね」


腰掛けてるのは何度も訪れたベンチ。
一緒にかき氷を食べたり、ちょっとエッチなことしちゃったり、智くんに踊ってもらったり。

ほんの数年だけど、いろいろな思い出がある。



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