Hello
第63章 可愛い人は④*山
なんて。
ちょっと、過去を懐かしんでいたら、
「……あなたリラックスしすぎ。足閉じたら」
智くんのあきれた声に我に返る。
ガニ股になってはだけていた足を、あわてて元に戻した。
普段の格好なら、というか、たとえ浴衣でも男物を着ていたら、問題ないくらいの姿勢でも、女物は、めちゃくちゃ目立つ。
まったくもって、女装というのは窮屈といったらない。
「…気を抜いたらダメだな」
ぼやく俺に、智くんはくすくす笑ってる。
その笑顔にきゅんとする。
……女装は、やっぱり俺より智くんの方が向いてる気がするな。
くるんとカールしたまつ毛や、キラキラのリップ。
そこらの女子より全然可愛い。
思わず智くんの肩にふれかけたとき。
「そこの綺麗なお姉ちゃんたち。2人かい?」
「俺たちとどっか遊びに行かね?」
チャラチャラした声が背後からした。