Hello
第63章 可愛い人は④*山
……だせぇ誘い文句の見本みたいなこといってんなよ
俺は膝から崩れ落ちそうになった。
いったいいつの時代のナンパなんだって話。
半ばあきれて後ろを振り返ると、まっキンキンの髪をした男が2人、ニヤニヤして立っている。
祭りの主旨を、間違えてる典型的なタイプだ。
花火じゃなくて、女を見に来たんだろう。
こんなやつらに声をかけられるなんて舐められたもんだ。
……大体にして、俺らに声をかけるなんて1000万年早いわ。
俺は、黙って首を振った。
「お茶するだけだよ。あっちに車とめてっからさ」
頭の悪い誘いに、智くんも隣で困ったようにフルフル首をふってる。
「2人ともめちゃめちゃ可愛いじゃん。ねぇ、ちょっと」
腕を触られたから、振り払った。
華奢な設定なのに、触られたらばれるじゃねぇか。
浴衣はいい具合に、体型も隠す。筋肉隆々の腕なんかみせられない。
だが、振り払った力が、思ったより強かったのだろう。
金髪が真ん丸な目になったあと、へぇ…ってまたニヤリと笑った。