Hello
第63章 可愛い人は④*山
Sho
建物の影から群衆を見渡すけど、こっちに向かってくる輩はいない。
もっとも、投げつけたたこ焼きがクリーンヒットしてたから、きっとソースまみれだ
あれで、人混みにはなかなか入りづらいだろうな。
息を整えながら智くんを見下ろせば、智くんも汗をうかべながら、心配そうに人混みを見つめてる。
体力は、俺なんかより全然ある人だからそこらへんは大丈夫だろうけど。
いつもと違う設定の格好してるし………しばらくここに隠れてた方がよさそうだな。
「大丈夫?智くん」
「うん…俺は何もされてないし」
「よかった」
「翔くんは?」
「大丈夫だよ」
言って、2人で肩をすくめた。
「翔くん、声だすんだもん。びっくりしたよ」
「……だって、あいつらがあなたに触ろうとするから」
「だめだよ。バレる方がやばいじゃん」
「俺はあなたの方が大事」
きっぱり言い切ると、智くんはちょっと口をつぐんだあと、
「………バカだね」
と、微笑んだ。