Hello
第63章 可愛い人は④*山
その何もかもを受け入れるような深い笑顔が、とても魅力的で…
俺は、思わず智くんの肩を抱いて、ゆっくり顔を傾けた。
「ぶ」
「ストップ」
すかさず俺の顔に、智くんの手のひらがのる。
「……今、何しようとしたの」
「キス」
「……あのさぁ。俺ら今オンナノコだってば」
「だから?」
したいものはしたい。
その手のひらをそっとどかせて、なおも近づく俺に、ビビった智くんの腰が引けていくから、俺はさらにその細い腰もがっちり抱き寄せる。
帯が邪魔だけど、結び目の下に腕をまわしたらなんてこたない。
「え。翔くん?」
智くんが、本気で焦った顔をするから、俺は周りを見渡してみせて、ふふっと笑った。
「……みて。誰もいない」
「え」
群衆から離れて身を隠した建物は、公園の事務所かなにかみたいで、今は施錠されてて暗い。
広場のすみ。
死角のようになっていて、誰もいない。