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Hello

第27章 Just a bit  * バンビズ


Nino


楽屋に帰ってくるなり、眉をひそめた相葉さん。

「………どしたの。あの二人」

いつもと違う空気間に即座に反応できるあたり、さすがムードメーカーだね。

相葉さんが、自販機で買ってきたコーラを差し出してくれるのを、ありがと、と受け取って、蓋をあける。

必要以上に静かな楽屋に、プシュッと炭酸のガスの音が殊更大きく響いた。

コクコク一気に喉を潤してると、「………珍しい光景じゃない?」と、相葉さんが、また声を潜めて囁いた。

ツンとしてる松潤に、気を使いながら話しかけようとしてる翔さん。

確かにあんまり見ない光景だよね。

俺は、くすっと笑って、ペットボトルを置いた。

一部始終を見てた俺にはおかしくてしょうがない。

「………ただの痴話喧嘩よ」

「え。あの二人が?」

意外!と、相葉さんが目を丸くした。

比較的大人な考え方と距離感を保つあの二人が、揉めるなんて………ってとこだよね。
分かる分かる。
どっちも言いたいこと我慢して遠慮しそーだもん。

でも、今回ばかりはダメだったみたいよ。

「………翔さんが、こないだの収録で、Jの家に行った話をしたらしいんだけど」
 
「うん」

「不仲説払拭するどころか、塗り直してきたから、Jが怒ってんの」

ププっと我慢しきれずに吹き出しそうになり、慌てて両手で口をふさいだ。
相葉さんは、はぁ?というように顔を歪めた。

「………今さら? だいたい、あれはそもそも、顔にすぐでる松潤のために、翔ちゃんがあえてまいたネタだったでしょ」

「その真相をJが知らなかったとしたら?」

俺の指摘に、相葉さんが一瞬黙った。
そこで、ようやくこの雰囲気が、マジでただの痴話喧嘩だということに、相葉さんも気づいたらしい。

「………馬鹿馬鹿し。ごちそーさまじゃん」
 
「でしょ」

相葉さんと二人で、珍しい二人をみつめる。

目をあわそうともしない松潤と、一生懸命機嫌をとってる翔ちゃん。

当分酒の肴にできそうだね。

って、あの二人に言ったら怒られそうだけど。

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