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Hello

第27章 Just a bit  * バンビズ


J


翔さんが、なんともいえない顔をして、俺に近づいてきたのが分かった。
リーダーにお尻たたかれたんだろうな。

思いのほか早く、状況修復のため動いてる彼に、少しだけ心がゆれるけど。

………でも、さっきの言い方はちょっと傷ついたぞ。
少しくらい拗ねてもいいよね?

俺は、ツンとした顔を崩さないままに、スマホから顔をあげてやんなかった。

さして興味もないサイトを指で弄りながら、頭の中のどこか冷静な部分では、自分は子供っぽいことしてるよな、と思い、心でため息を吐いた。

………本当は分かってんだ。
知らないふりしてるけど。
全部翔さんが、俺らを守るためにしたことだって。

俺らのネタなら、真実だろうが嘘だろうがなんでも書きそうな下世話な記者が、最近うろついてる、と知った少し前、俺たちの不仲説が出た。

最初は静観してた俺も、ネタに尾ひれがつきだし、それに乗っかるように、翔さんまでいじられるのをみてるうちに、なんか、面白くなくなってきて。

………そりゃ否定してくれるのは嬉しいけど。

番組で、俺らのこといじりすぎじゃない?
って、精一杯遠慮がちに訴えたらさ。

「だって、しょーがねーじゃん。お前がわるい」

って、心外だという顔をされた。

はあ?
しょーがねーじゃんってなんなんだよ?!って。
お前が悪いってなに?って。

普通は怒るだろ?



「………潤?」

「………」

でも。

小さくかけられる言葉。

楽屋で。
………多分、みんな見てるなか。

こんな俺のご機嫌とりをしなきゃなんない翔さんは、昔だったら逆ギレしたっておかしくない。

………カッコ悪くて嫌だろうに。


「………ごめん。言い方きつかった?」

「………」


ストレートな謝罪の言葉に、翔さんの顔が見れない。

「潤」

「…………」

でも、それは怒ってるから顔をみない、と、いうように勘違いされてるようで。




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