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Hello

第27章 Just a bit  * バンビズ

Aiba


めちゃくちゃ、レアな光景だ。

だって。あの翔ちゃんが、ガチで謝ってる!!


ガン見するわけにはいかないから、なんとはなしに別の方向を見たりはしてるけど、耳だけはダンボの状態だ。

………言い方きつかったか? だなんて。

その昔、松潤のことを、虫みたいだと、評した翔ちゃんの台詞とは思えない。


………と、いうかさぁ。


ちらりとにのをみたら、にのもきっと同じことを思ってる。
困ったように口角をあげてこちらを見上げるにのをみて、俺はふふっという声を飲み込んで笑った。

だって。


あまーーーーーい!


思わずあてられて、にやけそうになっちゃうよ。

多分、いや、鈍い翔ちゃんは、今の自分を自覚してない。

松潤へむける目は、まるきりプライベートな恋人のそれ。
怒らしちゃった恋人に、どうやって笑ってもらおうか、と逡巡してる翔ちゃんは、いつもの、嵐の裏リーダーの顔じゃないよ。

松潤と二人きりのときは、そんな目でそんな口調なんだ。
そんな顔、俺らにばらしちゃっていいのかなぁ。


ほら、その証拠に。
松潤の目が泳いでる。


あれ、絶対もう怒ってなんかなくって、どうやって翔ちゃんの顔を見ようか迷ってる顔じゃん。

なのに、翔ちゃんは、そんなこと気がついてなくて。


「………じれったいな」

隣からにのがポツリと呟いた。

「………じれったいね」

俺もクスクス笑ってしまう。

二人のこんな痴話喧嘩めったに見れるもんじゃない。

俺は、笑い顔を隠すために、にののコーラと一緒に買ってきた炭酸水をぐびぐび飲んだ。

「相葉さんがさ、翔さんの立場だったらどーする?」

にのが、小さく呟いた。

「え。相手はにので?」

「うん」

「そりゃもう抱きしめちゃう」

「………そーだろうな」

にのは、あきれた風に言って、手元の台本に目をおとした。

「なんだよ。じゃあ、にのならどーするの?」

「J の立場だったら?」

「うん」

「相手はお前?」

「うん」

「………許さないな」

「なんで?!」

にのが、いたずらっぽく笑った。

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