
僕のまーくん。
第11章 それぞれの誤解
ガタンゴトン……
揺れる車内。
……僕はさっきから、かずくんの横で貧乏揺すりをしていたみたい。
揺れる足が気になったんだろう。
「まーくん。足ッ!」
なんか、かずくんに太ももをチョンって押さえられた。
「あっ、ごめん!」
かずくんが、横から可愛く睨んでいる。
かずくんの可愛い手が僕の太ももに触るのを、感じてスゥ~っと、イライラが消えていった感覚になった。
翔ちゃん、いいだろう?へへんッ!
幼なじみの特権だよぉ!
あっ、もとい……恋人の特権なんだよぉ❤
なんて、自分の心の中で勝手に叫ぶ。
そんな、僕の心の中なんか知るはずもない、かずくんの隣に座ってる翔ちゃんをチラリと横目で見た。
はっ?!
何?
おいっ!翔ちゃん、見すぎだろ!それっ!
思わず突っ込みたくなるくらい、横にいるかずくんを大きなお目目をキラキラ輝かしながら、ガン見してる翔ちゃん!
やっぱ、翔ちゃん、本気なんだ。
翔ちゃんの冗談だったって事にしてほしかったけど……それは、もう絶対ないッて、分かった……
それにしても、めっちゃかずくんのこと見てる翔ちゃん。
あ~そんな見られてたら、かずくんだっておかしく思うでしょうに……
案の定、かずくんが
「何ですか?」
って翔ちゃんに、眉を寄せながら聞いてた。
「ん?」
翔ちゃんがイタズラッ子みたいな、大きなどんぐり目でかずくんを、ニコニコしながら、見てる。
「僕の顔になんかついてますか?」
かずくんが言う。
そりゃ、横に座ってるのに、そんだけ見られりゃそう聞きたくなるよね……
「ううん。」
ニコニコニコニコ。ただ翔ちゃんは笑いながらかずくんを見ている。
だぁかぁらぁっ!
翔ちゃん、見すぎだろッって!
見かねた僕は、
「翔ちゃん、かずくん見すぎっ!」
ストレートに思ってた言葉が出てしまった。
まあ、これはセーフだろう。
普通の会話だ。
あー、気使うなぁ~もう。
