
僕のまーくん。
第13章 スマホ事件
ちょっと!
櫻井先輩に捕まれた腕が、ふわっと
宙に舞った。
「相葉くんには、見せるの?
そういう目……」
ちょっと……先輩……マジで
止めて!
近い……近いからッ!
もう一度後ろを振り返ってみる
まーくん、助けて!
櫻井先輩はそんな僕の様子に
「相葉くんは、来ないよ!ほら?
あそこにいる!」
って言って
!!!
「先輩……からかわないで……
お願いします……」
震える声は、隠せないくらいになって
自然に目も潤んできた。
「からかってない。マジ……だから」
そう言った、先輩と目が合った
真剣な目に、離せなくなった僕。
「先輩……離して」
グイッと抵抗する感じで
先輩の手を押し退けた。
バチャン!
水飛沫が跳ね返る。
「ごめんね。ニノ?
怖がらすつもりは、全く
なかったんだ」
先輩が、顔に跳ねた飛沫をグイッって
拭いながら
僕を覗き込んで謝ってきた。
「ただ、本当にニノと、今日は仲良く
なりたかっただけなんだよ……」
先輩の目から、フッとさっきの
ギラギラした感じが消えたのが
分かった。
「相葉くんに言う?」
フルフル首を横に振る僕。
「言わないで!……下さい……」
櫻井先輩が、そんな僕に
じっと視線を向ける。
「じゃあ、1つだけ教えてよ?」
僕の心臓は、まだバクバク言ってる。
「………………」
黙ったまんまいると
「俺にも、ニノの連絡先教えてよ?」
…………えっ?
連絡先?
………………。
「……はい……」
あんまり、教えたくなかったけど
ハイって返事しなきゃ、
なんだか、この状況から
抜けれないような
気がしたから……
そう一言だけ返した。
「よっしゃ!」
櫻井先輩は、無邪気に
喜んでいる。
……良かったかな?
こんな、流されるように
約束しちゃって。
でも、まーくんとの関係は
かろうじて言わなかった。
僕が、まーくんを好きだって事は
顔に書いてある。
らしく。
バレたみたいだけど……
でも、この人が、僕に気があるなんて……
信じられない。
学校一の、モテ男って言われてるんでしょ?
……なんで、僕なの?
