テキストサイズ

僕のまーくん。

第21章 衝動



N side


「……キスされた」
 
 
怖くて、まーくんの顔を
見れずにうつ向いたまま、
小さく言った。

 
数秒の沈黙が流れる。


まーくん?


僕はまーくんの顔を見上げた。


「あっ……」


見上げたまーくんは、僕が今まで
小さい頃から知ってるまーくんの
顔じゃなかった。


両手を握り締めて、鬼の形相って
こんなかも……って思えるくらいの……


まーくん……震えてる


怒ってるよね?
また、泣きそうになる僕はまーくんに
精一杯、


「まーくん!ごめんなさい!
ごめんなさい!」

  
 
まーくんの握りしめてた手に重ねて
謝った。泣きそうになる顔で
まーくんを見上げた。


「……翔ちゃんち行ってくる」


静かな低い声でまーくんが、言って。


そのままスッと立ち上がって
まーくんは、スタスタ行ってしまった。



見たことないくらい、怒りに
満ちあふれた顔で別人みたいな
まーくんを引き止める事が出来ず
僕は。


ベンチから、動けなかった。


どうしよう……僕のせいだ。


まーくんと、先輩は親友なのに……
僕が、のこのこ先輩の家なんかに
上がってしまったから……


どうしよう……


ストーリーメニュー

TOPTOPへ