
僕のまーくん。
第37章 かずくんがヤバい!?
真っ直ぐの廊下の先に綾野くんの後ろ姿が
あった。
小走りで追いかけていく僕は、お弁当の袋を
片手にドキドキしながら近付いていく。
どうしよ……
こっからもう声掛ける?
いざ、呼びとめようと思ってもドキドキして
しまって躊躇してしまう情けない僕。
でも、スタスタ前を歩く綾野くんのすぐ
後ろまで来て、一定の速度を保ちながら
ついて行った。
……どこまで行くつもりなんだろ?
ってか、あの持ってる袋はお弁当が入って
んだよね?
スタスタスタスタ綾野くんは、前を歩いて行く。
それから2階に上がっていった。
……どこ行くんだろ?
2年生のまーくん達のクラスはまだこの先の
向こうにあるんだけど。
綾野くんは、そのちょっと手前の音楽室の
前で立ち止まって、そのまま中に入って行った。
……音楽室?
ここで食べるの?お昼。
僕は、綾野くんが入って行った後からついて
行って閉まったドアの前で立ち止まった。
ふと、中から急にピアノの綺麗な旋律を奏でる
音が耳に聞こえてきた。
~♪♪♪
…知らない曲だけど綺麗な音色。
綾野くんが弾いてるの?
ドアのこちら側で、立ち竦んだまんま
中から聞こえてくる、そのピアノの音色に
聞き入ってしまってた僕は
何故かいつの間にか、
手が勝手に、ガラガラっと
音を余り立てないようにと、
遠慮がちに開けていた。
そぉっと覗くようにして中を窺う。
ピアノの向こうに座っているその人は、
やっぱりさっき入って行った綾野くんの姿だった。
ピアノを気持ちよさそうな顔をして弾いてるのは
正しく、あの綾野くんだ。
……なんだか、違う人みたい。
