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僕のまーくん。

第38章 綾野くん



相葉雅紀先輩。


名前が分かった朝。
俺は何度も頭の中で、繰り返した。


相葉雅紀先輩……か。



それから、
あの一緒にいた色白な子は、一年だ。
だって一年の靴箱ん所にいたから。
あの子と話してる、相葉先輩の声が聞こえた。
はっきりと。


A「和くん、又後でねっ」


ハスキーな、ちょっと独特な暖かい声だった。
あの人らしい、声にドキドキした。



……呼ばれていた「かずくん」が心底羨ましい。



でも、俺は会えるだけで充分だったんだ。

 

あの人の笑顔を眺めてるだけで、幸せな
気持ちにさせられた。


いつものように、教室に向かった。



ん?


あれ……は。


廊下の前から、歩いてくるのは
見覚えのある、さっきのあの小さな子。


「かずくん」


だ。



……えっ?


こっから出て来たって事は同じクラスだったの?


今まで全然……気付かなかった。


一瞬すれ違い様に目が合ったような気がする。
でもそれは、俺が意識しすぎてるだけで、
向こうはなに食わぬ顔して通り過ぎて行った。



そっか。



あの人と繋がりがあるあの子と同じクラス
だったのか……



そっか……




 

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