
僕のまーくん。
第38章 綾野くん
人の話し声がうるさい廊下を進む。
いつもの、誰からも特に話しかけられる事もない
久しぶりの教室に入る。
……さっき、先輩と一緒に来てた
二宮くんの姿を自然に目で追う。
髪を切ったんだな。
でも。
可愛くなった二宮くんは、容姿がどうの……
という事ではないような気がする。
俺は、チラチラと気付かれないように
斜め向こう側にいる二宮くんを見ていた。
松本くんと一人の女子も一緒に喋っている姿が
見えた。
に、しても。
ちょっと離れた所から見ていても、
この松本くんという男は、
滲み出ているオーラのようなものが
一際違うように感じるのは、
住む世界がまるで違う俺みたいな
暗い人間からすれば、
同じ空間にいるのに、
まるで近寄れない存在…………だ。
なのに。
あの二宮くんは、俺から見ても結構俺寄りな
人間のような同じ匂いを感じるんだけど……
……人と距離を保ってるような。
所謂、人付き合いを苦手としているような。
でも。
なんで、あんなキラキラした松本くんや
相葉先輩達と一緒にいるんだろうか……
いや、一緒にいるだけじゃない。
俺が今まで観察していて感じた事。
こんな、校内でも知らない人達がいないような
キラキラしている彼らから、二宮くんは
圧倒的に、可愛がられている存在だって事。
甘やかされているようにも見える。
見た目の可愛さも……分かる。
二宮くんは、男なのに本当に可愛い。
だからなのか?
こんな羨ましすぎる状況にいつもいる
二宮くんが、俺は羨ましくて気になって
仕方なくて……
話がしたいって。
いつの間にか、そんな風に思うように
なっていたんだ。
