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僕のまーくん。

第38章 綾野くん




そんな事を勝手に思っていた矢先……



信じられない出来事が俺に起きた。



俺の中では最早、小学生の頃から特に何にも
期待もない、してもしなくてもいいような

「席替え」

で。


まさかの!


まさかの、あの「二宮くん」が後ろの席に
なったんだ。



ドックン……ドックン……



心臓の鼓動が早鐘のようになっているのが
分かる……



ど、どうしよう。



まさか、話したいって思ってはいたけど、
いきなりこんな近い距離に並ぶ事になるなんて……


緊張の余り、後ろが怖くて振り返れない。


二宮くんの声が近い距離で聞こえてくる。
隣の人と楽しそうに話してる声で分かった。

俺の斜め後ろは、あの松本くんだって。




…………なんで、こんな状況に。



先生がなんか、話し始めてるけどほとんど頭に
入ってこない。
後ろに感じる気配が、気になって気になって仕方
なかった。


前からプリントが回ってきた。


前後の席という事は、プリントが回ってくる
度に、二宮くんに回すというアクションを
確実に起こさないといけないという現実に……


俺の心臓は、更に信じられないくらいに
ドックン、ドックンとし出した。



は、初めての二宮くんとのコンタクト……



スッと、振り返ってプリントを後ろから二宮くんに
渡した。




だけど手を伸ばしてきた
二宮くんの顔までは見る事が出来ないぃ……

でもっ!でも、せっかくあの
相葉先輩のいつも、隣にいる例の二宮くんを
こんな近くで見れる事はなかったんだから、
この機会に見たかった。



チラリと前髪の間から、上を向くとそこに
綺麗な茶色い瞳をした子犬みたいな顔をした
二宮くんとバッチリ目が合ってしまった。



それに、



N「ありがとっ」



ってニコっと笑う二宮くんを、間近で見た。

……相葉先輩は、こんな可愛いらしい人と
いっつも、一緒にいるんだ……



咄嗟に言葉が出ず、ペコリとおじきだけして
また、前を向いた。








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