テキストサイズ

僕のまーくん。

第38章 綾野くん



その日の放課後。


浮かれた俺は、また相葉先輩を待ち伏せして
放課後残っていた。


きた!


やっぱり、二宮くんといつものようにセットで帰るんだ。

二学期になっても、俺の目の前の変わらない光景。

……カップルにしか見えないんだよなぁ
相葉先輩の隣を歩く、あの子犬のような二宮くん。


話しかけられて、俺は正直嬉しかったんだ。


よろしくって。
さっき二宮くん言ってくれたよなぁ。

応援団の話し合いがあったんだったな。
前を歩く二人の応援団の、姿が目に浮かぶ。
……相葉先輩、カッコいいだろうなぁ



俺は、二人からちょっと距離をとって歩く。



みつかりたくはない。



気付かれないように。
細心の注意を払って歩く……



先輩の笑顔が眩しい。
あー、ずっと見ていたい。
もう、ちょっとだけ……
近くで……


俺は、先輩の顔をもう少し近くで
見たいという衝動を抑えられなくなって
だいぶ普段より、接近してしまった。



そう思っていたら、急に前を歩いてた相葉先輩が
バッ!と後ろを振り返ったのが一瞬見えて
俺は、反射的にビルとビルの隙間に体を
滑り込ませた。


……バ、レた!?


バクバクする心臓を片手でぎゅっと
押さえ込んだ。


う、動けない。
五分くらいそうしていた。


そぉっと、相葉先輩達の方を隙間から
顔を出して覗き込むと、もうすでに
二人の姿はなかった。



ふぅ。



……後つけるのも、気をつけなきゃ……な。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ