
僕のまーくん。
第8章 夏休みの思い出作り
Nside
「あー涼しい~!」
まーくんも僕も、汗を拭きながら
決めてた映画のチケットを買って、ついでにポップコーンとジュースも買って中に入った。
一番後ろの席にした僕ら。
あんまり、人いないね。なんて二人で言いながら
ジュースを飲んだ。
まだ始まる前だから明るい館内で、僕はちょっとふぅって息を吐いた。
まーくんが
「かずくん疲れた?暑いしね。外……」
気遣ってくれる優しいまーくん。
「大丈夫🎵」
フフって笑いながら、ポップコーンを頬張った。
「このポップコーン旨い!」
なんて話してたら、
ブーッッ
と鳴って。暗くなった館内。
「シーッだねっ」
なーんてまーくんが言うから、僕もシーッのポーズをまーくんに返した。
映画の、内容が面白くて夢中になって見てた。
……んだけど
んっ?
まーくんが僕の置いてた左手にそっと右手を重ねてきた。
チラッとまーくんを見る。
まーくんも、僕をチラッって見てる。
……ちょっと笑ってる?
まーくん。映画に集中してよ。
また、ドキドキしてくるじゃん。
さっきの電車と同じように、また僕達の周りには、人がいない。
二列前にカップルらしき人と、おじさんの頭が見える。この位置から、この人らが一番近い距離にいる。
まーくん。お願い。
これ以上はないよね……
一瞬、さっきの電車での不意討ちを思い出す。
僕は、誘ってないよ。
こんなとこでは…………
まーくんは、そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、重ねた手を僕のズボンの上に移動させた。
はっ⁉
まーくん。やめて!バカっ
チラッとまーくんを睨むと、クフフって声を押さえて笑ってるし。
もう!内容分かんなくなっちゃうじゃん!
「まーくん!ここでは絶対ダメっ!」
ってギュッと、まーくんの手の甲を軽くつねった。
「痛っ!……クフフ」
…………………………………………。
絶対、面白がってんな。まーくんめ。
僕は、顔を赤くしながらも、まーくんに精一杯ベェーッてしながら、前向いてって小声で言った。
昔から、そんなとこもあるからなぁ。まーくんめ。
