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僕のまーくん。

第42章 綾野くんpart3学校編



ぼちぼち、靴箱のある玄関に向かう俺。
月曜日の朝は決まって教室に行くのが
いつもより、億劫だったけれど…… 


今日は、違うんです。
朝からあのお二人のほやほやの勇姿も見れたし
俺は、いつになく浮かれていた。

こんなことは、この学校に行く事
が始まって以来。
初めてだ。

「太陽の神様」を追いかけていた頃の
気持ちとも……ちょっと違う。

とにかく、お二人に近付けた事実が
俺の中での自分を大きく変えたんだ。




教室に入って自分の席につく。
二宮くんの席は……
当然、練習している姿を見たばっかだし
いない。

隣の松本くんも、まだ来てる感じじゃ
なかった。


机にとりあえず教科書やなんやを
仕舞いこんで。


「ふぅ」


と小さく深呼吸した。






………………。





うあぁぁ……どんな顔して
二宮くんに会えばいいんでしょう……


席に着いた途端に急に緊張してきた
自分に気付いて、もっと緊張してきた。
いつもなら、小説を片手にしてる時間。
……それもする気になれない。


そんな、俺の胸のうちなんか、
この教室にいる奴らは誰一人知るはずもない。
……そもそも俺に興味のかけらもないから。
いつもと変わらない、朝の教室の風景が
それを現実だと思わせる。


みんな、誰かと話したり笑いあったり……
朝から楽しそうですね。


俺は昔から居るかいないか、分からないような存在
だったからさ……


でも!

でもっ……俺。


今日は、二宮くんにちゃんとハンカチを返す
という大きなミッションがあるんです!!




……「友達」として。



はわあああぁぁ……いいんですよね?



「友達」……で。



なんか、やっぱりまたこの前のあの
出来事が夢のような気がしてきました。


普段と変わらない時間が一層、そう
思わせる。


返すはずの二宮くんのハンカチを
鞄からそっと取り出して、
引き出しに入れた。

 
夢じゃない!
夢じゃない!


だって……これがあるから!
二宮くんと接触した証拠が!!

渡すんだ。
ちゃんと「ありがとう」って
言って。


校庭のほうを、何気なく見ると
ここから、少し遠くにまだ応援団の
集団が見えた。

みんな、疎らだからもう練習自体は
終わったんでしょうね。
二宮くん……もう戻ってきますね。
ここに……


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