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僕のまーくん。

第43章 紙切れの真犯人?


A side


……正直。

さっきまで、母ちゃんが運転してるこの
車に乗ってた時は、死ぬほど痛いしきつかった。

病院で点滴打ってもらってから、帰り道。
うとうとしていた僕は夢を見たんだ。




……遠い遠い昔の本当にあった記憶。
頭のどっか片隅に大切にしまってあったで
あろう記憶が。
夢に出てきたんだ。






「まーくん。ぼくよりえみちゃんのことが
 すきなんでしょお?」


小学生になった僕に、まだ幼稚園生の頃の
かずくんが、遊びに来ていたえみちゃんって
可愛らしい女の子に、ヤキモチ妬いちゃった
んだよね。

えみちゃんは、僕の事が好きって言ってて
幼くても、女の子はやっぱり女の子で。

積極的なえみちゃんに、ちょっと離れた所から
じぃっと見ていて、こっちに近寄ってこない
かずくんの姿…

人見知りしちゃう、かずくんの性格はこんな頃
から既に現れてて。

…というか、この「えみちゃん」に関しては
完全にかずくんは何かを感じ取っていて。

「かずくん、いっしょに遊ぼう」

って誘っても、なかなか来なかったんだ。


…で。


それからのあのセリフ。





今思い出した。





かずくんのその小さな「やきもち」が僕は
すごい嬉しくて、嬉しくて。
えみちゃんとわざと仲のいい所を見せて
かずくんに、このセリフをまた言わせたくて。
僕だけのかずくんでいて欲しくて。

小さい僕は

更に一個小さいかずくんに、僕を求めるように
本能的に多分、仕向けていたんだと思う。




……そんな夢を見たんだ。




……で、今。



成長してさ、僕の大事な大事な
僕だけの「恋人」という存在になった
かずくん…。



あの、夢の続きを思い出せそうだよ。



小さい頃のかずくんも、いつもこうやって
うるうるした綺麗な瞳で僕を見つめてくれていた。



変わらない、その僕だけに向けてくれる
瞳と熱い想いは。
今はちゃんと「恋人」として受け止められる
ポジションにいるんだ。

こんな幸せがあっていいんだろうか?


……どんなに可愛い女の子より、どんなに
魅力的な女の子より、僕はかずくんが
断トツ、一番なんだよ?


……だから、ね?


そんな無駄な心配は一生しないでよ。


かずくん…。


A「大好きだよ」


そう言って、かずくんの唇に自分の唇を重ねた。

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