僕のまーくん。
第9章 翔ちゃんとかずくん
……なんか、ボソボソしか聞こえなかった声が止んだな……
あの人、帰った?
なんか途中、たぶんまーくんのほうだと思うけど、叫び声が聞こえたような気がしたけど……
何だったんだろう?
もう、降りても大丈夫かな?
身なりをもう一度整えてから、まーくんの部屋をそぉっと出て、階段を出来るだけ音を立てないように歩いた。
やっぱ帰ろう……
まーくんが、玄関のドアの向こうに立っていた。
帰ったのかな?
まーくん1人だよね?
まーくんに、背後から声をかけた。
「まーくん。あの人帰った?」
急に声かけたせいか、まーくんはちょっとびっくり驚いてた。
「かずくん!」
「かずくん、ごめん!翔ちゃん今、帰ってったから」
まーくんが、なんか慌ててる。
「なんか、用事だったんじゃないの?」
「なんか、すごい声が聞こえたけど」
僕がそう言うと、まーくんは
「あっ!翔ちゃんがさ、なんか変なこと言うから!」
だって…………なんの話してたんだろ……
僕には、関係ない話で二人しか分かんない内容か……
モヤモヤがまた僕の中で大きくなった……
何だか、焦ってるまーくんの様子にちょっとイライラしながら僕は
「あの人、なんか……苦手かも…」
口には出さないようにしていた、一言がさっきからの、ずっと渦巻いてる、心のモヤモヤのせいで、ついポロッと出ちゃった。
「えっ!?な、なんで?かずくん!?」
やっぱ、急に友達の事そんな風に言われちゃったら、ビックリするよね……
「別に……」
僕は可愛くない態度で、まーくんの顔も見ずに一言だけ返した。
「かずくん、翔ちゃんのこと、なんで苦手なの?」
やっぱ、気になるよね……
ごめん、まーくん。僕の心の中の問題なんだ……
「あの人、なんかいっつもニヤニヤして僕らの事見てるし……」
「初めて会った時も色々失礼なこと言ってた」
僕がそう言ったら、まーくんはあの人のフォローに一生懸命になって、代わりに謝ってるし……
「あー確かにあれは、翔ちゃん悪ふざけが過ぎたよね。ごめんね。かずくん。」
ムゥ……なんか、やっぱ面白くないッ‼
「今日は帰るよ」
僕は靴を履こうとした