僕のまーくん。
第9章 翔ちゃんとかずくん
「あっ!かずくんちょっと待って!えと、えっとさ……夏休みまだ長いし🎵……また遊ぼう!出来るだけ会いたいし❤」
………………………………。
僕は靴を履きながらまーくんが言ってるのを聞いて、嬉しくなった。
出来るだけ会いたいし❤って……
まーくん……❤
部活も忙しい毎日なのに、そう言ってくれるまーくん。
そんな風に思ってくれるんだねっ!さっきまでのモヤモヤが少しだけど小さくなった。
「うん。また、ラインするねっ」
それだけ言って、さっさと帰れば良かったのに、って後から後悔する事になるんだけど……
やっぱ、僕の中では気になってる事をまーくん本人に聞いてしまったんだ。
「……あの人とも夏休み会うの?」
まーくんをチラッと見ながら聞いた。
まーくんの表情に?マークが飛んでいる。
「えっ、誰?」
あの人って言ったら、あの人だよぉっ!
さっき僕らの邪魔したあいつ!
「まーくんの友達ッ!」
僕は思わず声のボリュームが、分からなくなって投げ捨てるように、まーくんに返してしまった。
「あっ!……翔ちゃん?」
僕の言う、「あの人」にまったく検討もつかなかった様子のまーくん。
「あ~、うん。遊ぶ約束はしたよ」
…………………………………………。
あっ、そうですか。
「翔ちゃん」とも、約束してたのか。
そりゃ、まーくんの友達なんだから、遊ぶ約束ぐらいするよね……そうだよ……
だけど、今の今。
なんか聞きたくなかった。
夏休み、僕だけのまーくんでいてほしい……なんて。
どんだけ、欲張りなんだろっ……
あー!また、モヤモヤが大きくなってきたし……
イライラしちゃうっ!
まーくんがなんか、後ろから言った気がしたけど
「バイバイ」
って顔も見ずに、まーくんちを離れた。
この気持ちは、そう、あれだ……
あの日に感じた
あの気持ちと一緒だ。
「やきもち」
……………………まーくんは、悪くない。
僕の態度は、あまりにもワガママだ。分かってる。
でも、押さえられないモヤモヤが僕の心に渦巻いて…………
せっかくの、初デートだったのに
こんな気持ちで帰る事になってしまった